一枚のレシートに端を発する夫の浮気疑惑
夫は、異常なまでの面倒くさがり屋です。
学生時代から、必要最小限の事以外は、何もしません。
結婚してからは、一日使ったハンカチをポケットから出す、という行為さえ億劫がります。
そんな物臭亭主ですから、浮気などという面倒くさい事は絶対しないと高をくくっていました。
夫のポケットには時々、コンビニや飲食店のレシートも入っています。
万が一、仕事関係の必要経費で落とせるものが混ざっているといけないので、私はいつも捨てる前に内容をチェックするようにしていました。
そんなある日、怪しいレシートを見つけてしまったのです。
オムハヤシライス、アイスコーヒー、チョコレートパフェが全て二つずつ、合わせて5000円弱でした。
場所は、千葉郊外にあるアウトレットモールの中のレストランです。
遠方の関係先を部下と一緒に訪ね、食事を奢るという事がたまにありますが、いつもとちょっと違う気がしました。
元々夫は少食で、デザートを食べる習慣がありません。
しかもせっかちで、食べ終わったら、すぐに店を出たい人なので、私は食後にゆっくりとコーヒーを飲む事も出来ないのです。
でも、この時は、一緒に食べないと相手が気を遣うと思って、無理したのだと思います。
私にはついぞ見せた事のない思い遣りです。
しかもチョコレートパフェです。
女の人と一緒だったに違いありません。
アウトレットで、何か買ってあげたのではないかと、別のポケットも探ってみましたが、他にレシートはなく、財布の現金もあまり減っていなかったので、その時は敢えて追及しませんでした。
でも一か月後、クレジットカードの明細の中に、某ブランドの名前を見つけました。
日付もぴったり同じ。
このブランドにメンズはありません。
浮気の証拠を掴んだと思いました。
お酒は一切飲めないし、その辺の女性を口説く度胸もない男なので、相手は絶対仕事関係です。
どうやって懲らしめてやろう?
私は一日中、いろいろと思いを巡らせました。
そして後々の事もあるので、まずは夫の話を聞いてから、どうするか決めようという結論を出しました。
その夜、仕事から戻った夫に、取っておいたレストランのレシートと、プリントアウトしたカード明細を突きつけると、一瞬驚いた様子でしたが、すぐに落ち着きを取り戻し、状況を説明し始めました。
相手は、アジアの某国からインターンで来ていた25歳の女性でした。
日常会話は問題なかったのですが、その日の朝イチに受けた電話で、ちょっとした勘違いをして先方を激怒させ、事が予想外に大きくなってしまったので、上長である夫が、本人を連れて謝罪に出向く事になったのです。
彼女は殆ど口も利けないくらい緊張していたので、先方の許しを得られた時は、涙を流して喜んだそうです。
それからレストランに立ち寄り、ご馳走になるわけにいかないと言って、彼女が取り出した財布が、あまりにもボロボロだった事に同情して、財布を買い与えたらしいです。
「インターン期間も終わりに近づいていたし、それまでは大きな失敗も無く、よくやってくれていたから、労いの意味も含めて、買ってやっただけだよ。いいだろう? それくらい。 実際もう国に帰ってるし。やましい事は何もないよ」
夫は平然とそう言い放ち、彼女が最後に寄こしたという、ありきたりな挨拶だけの一斉メールを見せましたが、バレる事を見越しての用意周到感が満載で、逆に疑いが深まりました。
二人きりの車中で、夫は絶対『何か』したと思います。
弱っている女を落とすのは、全然面倒じゃないですから。
後日、フェイスブックを辿って、彼女の顔を見ました。
案外ブスでした。
だからという訳ではないですが、今回は許す事にします。
友人の嫁の残した浮気証拠が凄すぎでした。
友人は既に離婚して5年以上が経ちますが、浮気証拠を当時はガラケーのカメラで撮って残していました。
私も見せられましたが、今までの浮気証拠画像としてはズバ抜けてトップに立ちます。その決定的な証拠を収めた日、友人は嫁と外出をしようと車で出かけようとしていました。
その日までに、たびたび問題はあったものの、何となく続いているといった生活だったと友人は言っています。車の助手席に友人が乗り込もうとした際、ドアに挟まっている緑色の物体に目が行き、「!」。
使用済みコンドームだったのです。使用済みと分かるのは、ゴムの先端に体液がたっぷりと残っていて、それがドアに挟まっていたのです。
友人は言葉を失い、数秒経った時に画像を収めることを思いついたようです。
離婚訴訟になった際などの証拠として収めたと言っています。
それから半年以内に彼女は家を出て、子供もいなかったため、サクッと離婚成立したのですが、その半年以内にまだ揉めている時に友人は部屋に居る時に浮気相手を玄関のカメラを通して見たと言っていました。
「衝撃だったよ、誰?あの茶髪の兄ちゃん」と笑いネタのように言ってました。離婚が成立する前後の飲み会で、その友人はネタのように例の浮気証拠画像を見せて回っていました。
私としては恥をさらす行為として、あまり理解できないでいました。
今思うと、ああでもしないと気が収まらなかったのかなと思います。
荒れた気持ちになるのは当然ですよね。敢えて笑いネタにして気を紛らわせていた友人の心情を今は理解できるようになりました。
たびたび、なぜドアに挟ませていたのかが議論になりましたが、私はわざと見せつけるように挟んであったのだと思います。
彼女はやり直そうなどの気持ちは全くなく、こうでもすれば別れられると考えてやったのではないかと思います。